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トヨタ生産方式-脱規模の経営を目指して- 感想

ふと、大野耐一さんの本が気になったので、Audibleで聞いてみた。
ネタバレ注意です。

まず、こういう技術に注目してもらえたのは、昭和48年オイルショック
を契機にしてだそう。
フォードに代表される少品種大量生産方式が、当時は一般的で、経済成長している時代にはそれで十分だった。
生産システムそのものも優れているのは間違いないですが、
本質はどういう狙いで、そういうシステムを発案・導入していったかという部分だと思います。

この頃は、大量生産すれば台当たりの生産コストは抑えられるのが常識だったよう。今でもそう思います。しかし、それは作れば売れる前提の話。売れた分だけ作れば無駄は出ない。徹底したムダの排除を考えていたからこそ、出てきた発想ではないかと思います。

よく考えれば当たり前ですが、一台3万点の部品を組立てる自動車では、事務管理のミスなどちょっとしたことで、生産が止まり、計画変更になることがある。そして、一つの部品ができないと、その次の加工・組付も止まる。もしくは計画変更せざるを得なくなる。
そういう事情がありながら、各工程に生産計画を示すと、欠品がある工程とすぐに使わない在庫が積み上がる工程ができてしまう。
これでは効率が悪くなり、企業の経営効率も悪くなる。
さらに現場で正常異常の区別ができていないと、改善のしようがなくなる。そこで、ジャストインタイムを実現するために、欲しい人が欲しい時に、前工程に部品を取りに行くようにし、前工程は引き取られた分だけ、作ればよい。こうすると、ムダに大量に作ることがなくなる。
そして、最終工程の組立ラインにだけ生産計画を示すことで、同期のとれた生産が可能になる。
これらを考えていくと、欲しいタイミングでどれだけ作るかがわかるかんばん方式が有用ということになる。
もう一つの柱である自働化は、機械に異常があったら止まる仕掛けをつけておく。これにより、問題が目に見えてわかる。元は、佐吉さんの自動織機の糸切れがあったら止まり、不良品を作らない仕組みだが、
人手作業でも異常があれば、ストップボタンを押して知らせる仕組みで、異常がわかるようにしたそう。
これを野球に例えたらという部分は私にはわかりやすかった。
ジャストインタイムは、連携よく生産できているかがわかる仕組み、チーム連携で改善をしていく部分。
自働化は、作りすぎのムダをなくし、不良品を防止する仕組み、通常の標準作業を認識し、
そこからズレた異常時(選手の能力が発揮できない状況)は、特訓により選手本来の姿に
戻してやる、これがコーチの責務。
自働化が進むと、目で見る管理が行き届き、生産現場の弱点が浮き彫りになる。
その結果、選手の強化策を講じることができる。

最近のシステム開発手法にも、こういうマインドが組み込まれてきているので、
根幹の部分は、よく考え抜かれたやり方なんだと思いました。
サービス業や事務作業にも応用可能な概念だとは思いますが、
どこか参考になる事例がないかなあ。